開発PCの性能検証2 -小型PC編-

はじめに

こんにちは、グレッゾ開発部プログラマーの櫻井です。
普段はツール開発などを通じて、ゲーム開発の環境を整える仕事をしています。

さて、前回に引き続き、新しい開発PCの性能比較検証を行うことになりました。
今回は、主に在宅勤務などで使用する小型PCの性能を調査しています。

現在、緊急事態宣言下ということで、グレッゾでも在宅勤務を行っております。
在宅勤務用のPCは会社から支給されており、各家庭に設置して使用しております。

今回、新しく用意した小型PCの性能を、前回のベンチマークの比較に加えてみようと思います。

前回同様、CPUベンチマークテストと、実際の業務で行うようなビルドやコンバートの処理時間比較を行って、小型開発PCのCPU性能の比較調査を行っていきます。

検証用マシンスペック

ThinkCentre M75q Gen2

thinkcentre-m75q-gen2

CPU : AMD Ryzen 5 PRO 4650GE 6コア12スレッド
メモリ : DDR4-3200 32GB
GPU : 内蔵
SSD:Crucial CT1050MX300SSD1

https://www.lenovo.com/jp/ja/kakaku/desktops/thinkcentre/m-series-tiny/ThinkCentre-M75q-Gen-2/p/11JJCTO1WWJAJP8/

こちらのケース容量1Lの小型PCです。
省スペース、静音、低電力で自宅への設置に向いており、
さらに価格も5万円台と、非常にコスパに優れています。

8GBのメモリでは実用上不足するため、メモリの増設を行い、
さらに、ストレージ非搭載のため、SSDを追加しています。

ベンチマーク

CPU性能の測定を行うベンチマークソフトを実行し、前回計測したCPU群と比較するグラフを作りました。

前回計測したのは、Core i5 10600、Ryzen5 3600です。

また、櫻井が開発に普段使用しているPC(Core i7 6700K)のベンチマーク結果も、グラフに追加しています。

 CinebenchR23

cinebenchR23_single

シングルコアでは、前回行ったCorei5 10600やRyzen5 3600 に迫ったスコアがでています。
特に、Ryzen5 3600とはほぼ同等といってもよさそうです。

cinebenchR23_multi

マルチコアでは、前回検証したCPUより1~2割ほどスコアが低いですが、Corei7 6700Kをはるかに上回っています。

cinebenchR23_perwatt
また、Ryzen5 4650GEはTDP35Wなので、TDP65Wの前回計測したCPUたちより、
圧倒的にワットパフォーマンスに優れていることが分かります。

ビルド・コンバート時間

前回と同様に、実際の業務で取り扱う、プログラムビルド、シェーダービルド、データコンバートを実行して、前回の記録に追加してみました。

プログラムビルド

10個のプロジェクトが含まれるソリューションファイルをビルドしてみました。

program_build

CPUベンチマークから期待した数値よりは、ビルド時間が長いという結果になりました。

ただし、前回の計測に使用したPCとは、ストレージなどCPU以外の構成も違うため、純粋にCPUスペックの比較にはなっていません。

小型PCでありながら、Core i7 6700Kを圧倒しています。

シェーダービルド

2つのプロジェクトのシェーダーファイルをビルドしてみました。

shader_build

何度か計測を行いましたが、シェーダービルドはプログラムビルドに比べて結果が不安定なようでした。
シェーダー1では何故かあまり芳しい結果を得られませんでしたが、シェーダー2はおよそ期待通りです。

個人的な感覚の話ですが、前回同様RyzenシリーズはCore iシリーズと比べて、ベンチマークの結果ほどはシェーダービルドの結果が良くないように思います。

とはいえ、特にシェーダ2で十分な速度を出しています。

データコンバート

2つのプロジェクトのゲーム用のデータをコンバートしてみました。

deta_convert

こちらでは、およそCPU速度に応じた時間でビルドが完了しています。
問題なさそうです。

CPU温度

CPU全コアに負荷をかけると79℃まで温度を上げることができましたが、
負荷をかけるのをやめると30秒ほどで60℃台前半に戻りました。
平常時は50℃台後半です。

高負荷時、ファンの音はある程度しましたが、こちらも数十秒で静かになりました。

室温が20℃前後でしたので、夏場などはもう少し上がるかもしれませんが、
実用上は殆ど問題ないのではないかと思います。

まとめ

テストの結果、小型でありながら、必要十分なCPU速度を持ったPCであることが分かりました。

前回計測したCPUたちに迫るCPUベンチマーク結果を出し、各種ビルドもそのベンチマークから期待される速度で完了していました。

また、行ったすべてのテストで、私が普段使用している開発PCを上回る結果を出したのは驚きでした。
Core i7 6700Kは5年ほど前のCPUなので仕方がないのですが、発売当初は50000円前後だったCPUを、税込み5万円台のコンパクトなPCが上回っていくのは技術革新を感じますね。

このPCであれば、在宅でも不都合なく業務が行えそうです。

ここまでご覧いただきありがとうございます。
またどこかでお会いしましょう。