Mirage SoloでスタンドアロンVRを体験してみた

Mirage Soloを買ってきた

話題のスタンドアロン6DoF VRヘッドセット、Mirage Soloですが、発売した週の日曜日にビックカメラ店頭で販売していたので早速買ってきました。

税込み55,000円前後でした。OculusRiftやvive、WindowsMR対応VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)がおおよそ50000~60000円で、それとは別にPCが必要になることを考えると、かなりお手頃にVRが楽しめます。PS4+PSVRよりも安いです。

Mirage Soloとは

Lenovoより5月11日に発売されたスタンドアロンVRヘッドセットです。

前方の2つのカメラによって、別途センサーなど無しに6DoFに対応しています。
これは、xyzの3軸についてそれぞれ平行移動と回転が可能、つまりヘッドトラッキングとポジショントラッキングが可能ということです。

OculusRiftやviveのような、これまでのHMDと大きく異なるのは、ケーブル類が存在せず、描画スペックが高いPCも必要ない、という手軽さです。

 スタンドアロン型VRヘッドセットについて

従来のポジショントラッキングが可能なHMDは、複数のケーブルによるPCとの接続と、HMDの座標を検出するセンサーの配置が必要でした。

そのため、VR空間で動ける範囲は限定的で、VRアトラクション施設ではケーブルを吊り下げたりしていました。

しかし、Mirage Soloにはケーブルがありません。ですので、その気になれば装着したままで長距離の移動が可能です。

viveのように装着した状態で外が確認できるわけではないので、何があるか分からない場所では使用できませんが、これまでのHMDでネックとなっていたケーブルの取り回しから解放され、非常に快適なVR体験ができます。

また、高性能なグラフィックボードを搭載したPCも必要ありません。

VR空間を自由に移動してみたい

ケーブルとPCから解放されたMirage Soloを使用して、何かこれまでと異なるVR体験をしてみたい!

ということで、まずはさっそく開発者設定でセーフティ範囲をOffにします。
通常のMirage Soloは、安全のため直径1.5m以上移動すると画面が暗転してしまうからです。

Mirage Soloの設定から、ビルドバージョンを7回クリックして、デベロッパー向けの設定を表示させ、そこからEnable safety graphicsのチェックを外し、再起動して下さい。

これでちょっと動いたらすぐに範囲外で真っ暗ということはなくなります。
ただし、この設定を外した以降は必ず周囲の安全を確保してください
外が見えない状態での移動は非常に危険で、思わぬ事故の可能性もあります。

次に、Mirage SoloはGoogleのDaydream対応端末ですので、UnityでDaydreamの開発環境を整えます。Unityを使えば開発ハードルがぐっと低くなるのも嬉しいですね。

今回のセットアップ内容は以下のとおりです

  • Unity2018.1.0f2:Android開発にチェックを入れてインストール
  • Java SE Development Kit 8u171
  • AndroidSDK 8.1(API Level27)
  • GVR SDK for Unity v1.130.1

詳しいセットアップ手順については他のDaydream開発向け記事がWebに多数ありますので割愛します。

また、開発に使用したPCは6年前くらいのWindows7ノートです。グラフィックボードは搭載していません。

せっかくだから上下に移動してみたい

さて、せっかくケーブルから解き放たれたので、これまでは難しかったVR空間での上下移動を行ってみたいと思います。

アイデアとしては単純で

  1. 自宅の階段とおおむね同じスケールで階段の3Dモデルを作る
  2. それを配置したVR空間をMirage Soloで映す
  3. VRの階段を見ながら現実空間で階段を上がる

こうすることで、VR空間でも階段を上がっている感覚が得られるのではないか、というものです。

まず、UnityにアセットストアからProBuilderをダウンロードして、階段を作ります。

ProBuilderはUnityエディタ上で簡単に地形のモックアップが生成できるアセットで、生成メニューでxyzのサイズと階段のステップ数(段数)を入れるだけで簡単に階段を生成できます。

シーン生成1

自宅の階段の寸法をメジャーで測ってUnity上で階段モデルを作りました。
ついでに、立方体で踊り場を作り、そこになんとなく円柱を立てました。

メインカメラの座標をあらかじめ自分のアイレベル(目の高さ)と同じぐらいにしておきます。Unityの座標スケールは1.0=1mです。

この状態で、Mirage SoloをUSB接続し、Build&Runすると

こんな感じです。コントローラの○ボタン長押しで、何度でもスタート位置に戻れるので、USBケーブルを外し、現実の階段前に移動してヘッドセットを被って試してみます。

登れました。

うまくいったみたいなので、もう少し高くしてみます。

自宅の1階から、2階に上がる分の階段をProBuilderを使って追加しました。
本当は途中の段の部分が斜めになっていますが、今回は簡単に試してみたかったので90度回転して繋いでいます。

高さ約3m弱の階段ができました。登ってみましょう。

登れました!

アイキャッチ画像

階段の斜め部分をちゃんと作らなかったせいか、途中から上っている足の感覚と、階段の見た目がちょっとずれてしまいましたが、少なくともVR空間でも現実の上下移動が反映されていることが分かります。

また、本来は壁に隠れている下の階のフロアとの高低差を感じることができます。
3m登って下を見ると、結構怖いです。

そして、やってみて実感できましたが、自分の足でVR空間を移動すること自体がとても楽しいです。
ファンタジー世界の風景に展望台として階段を置いてみたらどうなるでしょうか?
さらに、3Dのキャラモデルを並べて上から眺めてみたら?
なんだか夢が広がりますね!

最後に

今回は、とりあえずお試しということでこれ以上は深追いしていませんが、ケーブルなくVR空間を移動できるということが、新しいVRアプリを生み出すことは間違いないだろうと思います。

例えば、本人に移動の必要がない、カートやトロッコ、エレベーターやジェットコースターなどを利用したVRアプリは、アトラクションとして成立しそうですね。

また、こうしたスタンドアロンVRを手軽に体験、開発を楽しめる環境が、ちょっとの勇気さえあれば誰でも手に入るという、とても楽しい時代になったと思います。

さらに5年後、10年後の未来が楽しみですね!

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。